手榴弾/グレネードの断面画像で内部構造より爆発の威力と時間を知る
戦争映画などで必ずと言っていいほど登場する手榴弾(グレネード)だが内部構造がどうなっているか知っていますか。信管と起爆の関係、手榴弾の威力、爆発までの時間はどのようになっているのか解説します。
手榴弾(グレネード)の断面画像 内部構造から爆発までの時間の流れ
- 1.右側の断面画像を見ていただくと分かりやすいが、ピンを抜くとテコの原理が開放されセーフティーレバー(上から下まで伸びているレバー)が飛ぶ、それと同時にセーフティーレバーの下に隠されていたストライカーが起き上がり信管(プライマー)を叩く、叩かれた信管は起爆して発火する。
- 2.発火した炎と熱は真ん中の縦溝のパウダートレインに入っている火薬に引火する。この火薬は爆発するものではなく燃焼時間の長い導火線の役割を果たすため、この時間が爆発までの時間の大半を占める。
- 3.パウダートレインを発火しながら下に下がってきた炎と熱は縦溝の終着点のデトネーター(起爆薬)を発火する。
- 4.デトネーターの爆発を受けたフィーラー(詰物の意味)部に詰められた大量の爆薬が爆発する。
- 5.爆発による膨張でボディーの厚みの薄い箇所が裂けてバラバラの金属片になり四方八方に飛散するため飛散型の手榴弾を正式には破片手榴弾(フラグメンテーション)という。
つまりは一度ピンを外しセーフティーレバーが外れてしまうとストライカーが信管を叩くのでセーフティーレバーやピンを元に戻しても爆発を避けることが出来ない。
手榴弾(グレネード)の威力
手榴弾は手で投げるために片手で握れる大きさなので爆薬の量がそもそも少なく威力は大きくないが10m前後の範囲を攻撃する目的がある。致死率と被害は爆発の膨張による衝撃波とバラバラになったボディーの金属片の飛散が主な要因となる。
致死率と被害
- 5m未満は即死もしくは重症、致死率は80%以上
- 5m~10mは即死もしくは重症、致死率は50%~80%
- 10m以上は衝撃波よりも破片に当たるかどうかで致死率は大きく左右する。
あくまで立った状態で手榴弾が爆発した状況なので完全に伏せた状態だと距離が遠くなるに連れ致死率は下がる。
衝撃波
爆薬が爆発時に瞬間的に気化するため膨張する。膨張によって生まれた衝撃波が人体に接触した際に手足の場合は衝撃を受けきれずに離散し、胴体の場合は内部つまり内臓に圧力が加わり内蔵破裂といった外見では分からない損傷をうける。
映画などで兵士の近くで手榴弾(グレネード)が爆発し、吹っ飛ばされ血も出てないのに横たわって動けなくなるのは内臓に損傷を受けたからである。
金属片の飛散
手榴弾(グレネード)のボディーはボコボコしたパイナップルの形をしているのは訳が有り、金属片をある程度の塊にして爆発の衝撃波と一緒に飛ばすためである。 つまりは拳銃を四方八方に一斉に撃つのと同じ効果がある。手榴弾(グレネード)のタイプによってはフィーラー内に金属片を入れたものなど色々と存在する。
手榴弾(グレネード)の爆発までの時間
爆発の流れを踏まえると発火する箇所はプライマー、パウダートレイン、デトネーター、フィーラーの4箇所で順に火が移っていくことになり、このプロセスの時間が手榴弾(グレネード)の爆発までの時間となる。
ピンを抜いて5秒前後で爆発するイメージをお持ちだろう。まさにその通りで手榴弾(グレネード)は標的近くに投げ込む目的の爆発物なので投げる時間が必要になる。つまり5秒前後の時間が必要になるため標準になっている(即起爆や遅延起爆のような特殊な物を除く)。
品質がしっかりしている物でないと兵士も安心して使用できない。不慮の爆発で自国の戦力を失う可能性があるのでので爆発物、特に手榴弾(グレネード)はその国の技術力の高さの証明とも言えるのではないでしょうか。
※手榴弾(グレネード)は種類により爆発の威力や起爆のプロセスが違うのでご了承下さい。
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